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[orca-users:15870] Re: 標準型電子カルテは、どうなるのでしょうか



目々澤@東京都です。

本年6月に東京都医師会理事を退任し、日本医師会医療IT委員会委員も辞任いたしました。
話題になっている「標準型電子カルテ」は既に2年前の日本医師会医療情報システム協議会(日医協)で議論され、実際にα版が本年2月の日医協で展示されておりました。
本来であれば「お膝元」であるはずのこちらのMLあたりに日本医師会担当常任理事が経緯を時に応じ報告するぐらいのことをしてもよいのではないかと思いますが、なにせご本人はORCAユーザではないことも一因かも知れません。

「標準型電子カルテ」とよく混同されるのは「電子カルテの標準化」です。
こちらはそれより以前から取り組まれており、電子カルテ等で用いられている「3文書6情報」を(かつての病院型電子カルテの標準規格であった)SS-MIX2でなくHL7 FHIRで標準化し、オンライン資格確認で張り巡らされたIPV6のネットワーク上で交換することにより全国共通の医療情報プラットフォームを形成するというものです。
この中で既に稼動しているのが健診結果と処方情報であり、電子処方箋化した医療機関だと処方情報が1ヶ月遅れでなくリアルタイムで取得できるようになります。
この標準化された情報を見ることが出来るようにしたものが「標準化された'電子カルテ」であり、現在すでに存在するクラウド型電子カルテもそのうち対応せざるを得なくなりますし、病院型電子カルテも今後のリプレースの際にベンダーから切り替えを進められていくことになります。
オンプレミスの電子カルテも大概のベンダーはクラウド型への移行をユーザに勧め始めているところだと思います。
その過程でこれまでオンプレミスだった医療機関もその流れに乗れば、順調にクラウド化⇒標準化が進んで行くものと思慮されます。
ですから、すでに電子カルテを使用している医療機関はそのままベンダーの製品進化を待っていれば良いのではないでしょうか。

標準型電子カルテは、2030年までにまだ紙カルテ+レセコンのみで運用していた医療機関をなんとか全国共通の医療情報プラットフォームに載せるための算段です。
標準型電子カルテは単体では動作せず、別途国が用意するレセコン機能「診療報酬改定DXにおける共通算定モジュールの請求支援機能」と一体となってクラウドで提供されます。
このうち「共通算定モジュールの請求支援機能」はORCA管理機構が受注していたのですよね、上野さん。
ORCAをレセコンのみで使用していた医療機関が便利に移行できるように是非ともご配慮くださいね。
さて、標準型電子カルテは厚生労働省ではなくデジタル庁がいかにも怪しい名称の「(株)FIXER」が受注しています。
そして、標準型電子カルテはIPV6のネットワーク上で取り交わされている3文書6情報が表示可能であるだけでなく、電子処方箋にかかわる機能も標準化されることになっています。
おまけに、この標準型電子カルテは患者さんに不用意に疑い病名や保険病名などが見えることがないようにそれらの情報にマスクをする機能も搭載されます。
さらに、標準型電子カルテを導入せざるを得ない医療機関は診療録部分を記入しなくても良いような表示方法(紙カルテモード)も用意されています。
「診療録はどうしても手書きのまま残したい」というドクターへの配慮です。
むろん、医療機関が代替わりしたときには通常モードを選択して診療録も電子記録できるようになっていはずです。
2月に展示されたα版は共通算定モジュールが間に合わなかったため、暫定的にWebORCAとの組み合わせでした。


高橋先生のお書きになった「2030年までに全国ほぼすべての医療機関での導入を目指している」という記述は「すべての医療機関が標準型電子カルテを導入する」と言うことではありません。
国が「2030年までに全国ほぼすべての医療機関での電子カルテ導入を目指している」のは確かなことであり、その中には1)これまでの電子カルテが進化して標準化されること、2)紙カルテだった医療機関が標準型電子カルテを導入すること、の二つのルートで目標を達成したいということなのです。

ただし、僕個人ではこうしたからと言って医療費削減がすぐに実現するとは思えません。
これだけは大切なことですので最後におことわりしておきます。
また、日本医師会がこれまで「医療DX推進一本槍」だったのが昨今「完全義務化は無理」「地域医療連携も広域化・全国共通化」などと変化してきたのは遅きに失することだと考えております。

言葉が足りなければまた改めてご説明いたします。
少しでも情報共有の足しになれば幸甚に存じます。

東京都江戸川区 目々澤醫院
目々澤 肇
03-3657-5470


> 2025/07/13 18:33、K. Takahashi <jaytakahashi@xxxxxxxxx>のメール:
> 
> お世話になります
> 高橋@shk-clです
> 
> 話題に上がっている「標準型電子カルテ」「標準電子カルテ」
> が何であるのか不明のため、調べたら
> デジタル庁標準型電子カルテα版
> とあったので、驚きました
> α版(動くプログラム)がすでにあるというのも驚きです
> 
> 政府が定めた標準規格
> クラウド型
> 2030年までに全国ほぼすべての医療機関での導入を目指している
> 
> この情報は追いかけないとです
> 
> トピック上げていただき、ありがとうございました
> 高橋
> 
> On 2025/07/11 16:58, so yuzawa wrote:
>> 選挙が近くなり「4兆円の医療費削減」という公約が毎日流れて
>> 参ります。小泉会改革による医療費削減で、医療崩壊の引き金を
>> 引いてしまったのに、その数倍のインパクトという事になると、
>> もういよいよ医療も終わりだと感じます。そんな逆風の中でも
>> 更なる負担を増やす電子カルテが、5年後に義務化です。
>> 標準型電子カルテの全体像は見えてきませんし(そもそもそれが
>> 使いやすいかどうかも解らない)レセコンやオン資との連携も
>> どんな風になるのでしょうか……不安に感じているところです。
>> ORCAの開発スケジュールは、その先までありますから、こちらは
>> 大丈夫だと思うのですが、個人導入は連携が難しくなるのかも
>> しれませんね。
>> 
>> みはし医院 湯澤 聡
> 
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