[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[orca-users:10703] Re: 自賠責で保険使用のケースについて



橋本先生 初めまして。こんにちは。栗崎@八戸(整形外科開業医 ORCA自
力導入)です。
自賠責の健保使用ですね。ORCAの使用の件はさておき自賠責の健保使用に関
して私見を述べます。長文になりますがご容赦ください。

交通事故の自賠責で損保が健康保険の使用を被害者に言葉巧みに丸め込み申
し出てくる事があります。以下が損保が健康保険を使用したい理由です。

1、健保なら1点10円。

自賠責は自由診療なので地域によって1点20円とか40円とか。日医基準
を採用している医療機関では1点12円で請求しているわけです。当然この
請求点数は各診療機関の個別の値段です。医師会や日医がこの点数で決めま
したと言ったら公取違反です。そのためORCAでも点数が変えられるようにな
っているのです。もっとも周りとあまりにもかけ離れて高額な点数での請求
では裁判されると負けてますが。

2、健保使用だと患者窓口負担以外の7割は健保が医療機関に払うわけです
  が、この7割は健保組合が第三者への請求権を取得して加害者側に請求
  して返してもらうことになります。しかし国保などはしっかり回収して
  いない又は第三者行為の届出がされないなどの理由で10億も未回収に
  なている自治体(実は北海道)があるのです。

健康保険はあくまで当人の疾病にたいして行われるべきものです。健保の第
三者行為はあくまでも被害者救済が大原則です。損保が自賠責を節約するた
めにあるわけではありません。とくに自倍は黒字で掛け金を減額したのに国
保は赤字です。
  
次に事故による健保使用だと患者さんは不利益を被る可能性があるります。

1、一般に健保使用では後遺症の考えはありません。従って後遺症が残って
  も請求できません。逆に直るまで無制限に治療できます。しかし一定の
  時期で損保は患者さんの負担を払わなくなります。結局、後遺症が残っ
  ても泣き寝入りになるケースもあるのです。
2、第三者行為の治療における請求権が健保に移るため患者さんの損害賠償
  請求権が事実上無くなります。健康保険法第67条に基づき、その給付価
  額を限度とし、被保険者等が第三者に対して有する損害賠償請求権を代
  位取得するとされています。
3、健保使用だと休業補償が安くなるし、通院交通費は出ません。損保が健
  保使用なのに自賠責も使おうとするのはこのようなものを補填するため
  なのです。

あと自己負担分ですが健保使用の場合は患者さん本人から支払って頂くのが
筋です。健保使用で自己負担分を窓口で徴収しないのは療養担当規則違反に
なります。自己負担分を保険会社が支払う事を十歩譲って認めてもこれはあ
くまでも加害者の代理としてでの支払いで自賠請求は別問題です。
自倍は自由診療です。健保と自費の併用は療養担当規則違反とも言われかね
ません。当院では事故の第三者行為に関しては自賠責請求書および診断書は
いっさい書きません。自己負担分は患者さん自身が加害者に請求すべきです。
健保を使用するという事はそうゆうことです。窓口でだした領収書や患者さ
んが希望すれば詳しい領収書も発行する義務が医療機関にはあるのですから
請求できるはずです。損保がレセプトを希望するなら健保に患者さんがレセ
プト開示してもらえば良いのです。
あと第三者請求ですが健保もしっかりしてきたのか第三者を認めない事もあ
るそうです。第三者認定がおりる前から適応していると払ってもらえない事
もあるらしいです。(当院ではまだありませんが)
医療機関からの治療費の請求権は治療を受けた患者さんに対しで、損保への
請求権は無いのです。健保が払ってくれないとなると患者さんに請求する事
になります。しかし患者さんは損保(加害者側)がどうにかすると思ってい
るので払う払わないでもめる事になるのです。あくまでも医療機関が請求で
きるのは患者さん本人なのです。賠償請求権を患者さんから取得して損保に
支払い請求するのはかなり難しい事になります。

>橋本@徳島県、自力導入でORCA使用中です。
>教えていただきたいことがあり、初めて投稿ししたします。
>
>自動車保険会社へ提出するレセプトのことでお尋ねします。
>
>
>−−−−−−−−−−−−−−−
>橋本 公昭
>橋本医院
>clinhasi@xxxxxxxxxxxxxxxxxxx
>−−−−−−−−−−−−−−−

栗崎 和之
南類家整形外科クリニック
〒031-0004
八戸市南類家4丁目2-30 
kazuyukikurisaki@xxxxxxxxxxxxx