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[orca-users:01811] Re: OSについて



西田と申します。Linux 技術者です。

安陪さん wrote:
>  ORCAプロジェクトが成功するか失敗するかの鍵は、どれだけ
> ORCAのインストールや設定が簡単になるかではありません。
> (もちろん簡単になるにこしたことはありませんが)
>  そうではなくて、
> 「地域のサポート業者をいかに育成するか」
>  にかかっています。
>  ORCAを普及させるために、今、一番大事なことは、
> ORCAを扱う地域のサポート業者をいかに作り育てていくか
> ということなのです。

須澤さん wrote:
> つまり 2万円/月 × 12ヶ月 × 1万施設 ≒ 年間24億円が
> 「全国の」orcaサポートの市場規模となります。これを全国のサポート業者
> が分け合うわけです。また、上記の通り「地域密着型」のサポートが必要と
> 思われますので全国をカバーするのはなかなか難しいでしょう。かくして企
> 業経営としては絶望的な市場規模なのでした...

といった現状を伺うにつれ、今のままでは ORCA を普及させるのは
難しいだろう、という印象を持っております。

ここで取るべき方針は、次のいずれかに一つではないでしょうか。

1. ORCA 導入・サポートの価格設定が高くても受け入れ、業者に
   とって魅力ある市場とする。

2. 資金・人材のリソースを開発に集中し、ORCA を Windows アプリ
   のように誰でもインストール・メンテナンス出来るようにする。

大勢の方は、恐らく 2 の選択肢に賛同されることだろうと思います。

そこで表題の OS の選択という話になりますが、私もどちらかと
言うと Debian 反対派です。Debian はボランティアベースで開発
されているディストリビューションであり、愛好者も多いようでは
ありますが、現在の商業 Linux の世界では RedHat 系の Linux
(Vine や Turbolinux を含む)が、事実上の標準となっています。

例えば Linux ディストリビューションの標準を策定する Linux
Standard Base (http://www.linuxbase.org/) という文書では、
パッケージ管理のために RPM というシステムを使うことになって
いますが、この時点で Debian はこれに外れます。

何も特定の業界標準に従うことが ORCA の普及のために必要だと
いうことはありませんが、少なくとも世界の大くの Linux 市場、
関連企業は、Debian とは違う方向を向いており、そこに大きな
リソースが投入されているのは事実です。

Debian が選ばれた理由は apt-get というコマンドツールが便利
だからだと聞いていますが、何も apt-get は Debian の専売特許
ではなく、RedHat に移植されたものもあれば、MacOS X 上ですら
動いているのを見たことがあります。

また apt-get に限らずとも、オンラインアップデートの仕組みは
他にも考えられるでしょう。red-carpet というユーティリティを
使えるようにするとか、自前でインストーラを開発するとか、他
にも選択肢はもあると思います。

結局、apt-get などは Debian を選ぶ十分な根拠とは思えません。
更新頻度が遅い(時代遅れになりやすい)というのを利点と考える
ならそれもありだと思いますが、「apt-get がいいから Debian。
Debian は難しいから専門業者が必要」というロジックは何かずれ
ている感じがします。

それよりも考えるべきは、

  「レセプトシステムとは、業者のサポートがなければ
    どうしても使えないものなのか?」

ということではないでしょうか? 例えインストーラがどんなに
賢くなっても、レセコンというのは業者の手助けがなければまず
使えない性質のものであるなら、わかりやすいインストーラより
も業者育成のためにリソースをつぎ込むべきでしょう。

逆に、Windows 並みの使い勝手になれば業者に頼る必要はない
ものであるなら、業者がいなくてもやっていけるように、ソフト
ウェアの完成度を高めるためにリソースをつぎ込むべきでしょう。

現在の ORCA を見ていて気になるのですが、例え ORCA が普及
してサポート業者にお金が渡っても、ORCA の開発にはそれが
回らない仕組みになっているのでないでしょうか? だとすれば、
ORCA がいくら普及したところで、開発費は増すのに利益は増え
ない、赤字経営のモデルだということになります。

極端な話、ORCA を有償にしてそれを開発費に向けた方が ORCA
をよくするためにはいいようにすら思えるのですが、いかがで
しょうか。何もオープンソースは無料でないといけないことは
ありません。業者の参入は自由に認めたとしても、原則として
ソフトウェア代金は徴収する、という形はありだと思います。

例えば、主なソースコードは公開しても、インストーラを含めた
安心確実の正規パッケージは定価 10 万円とする、などとします。
もし 1 万のユーザが導入すれば 10 億円の収入。これをすべて
開発に回すことが出来れば、それなりのソフトが作れるでしょう。

そのような収入モデルを作ってソフトウェアの完成度を高める
努力をするのでなく、第三者の業者に頼ることを前提として
システムを作ろうとする理由がわかりません。業者のいらない
レセコンを作るのは不可能なのでしょうか?

ちなみに、Linux はどれも似たようなものなので、Debian で
なくても ORCA は動きます。自分は RedHat Linux 7.2 で
ソースからコンパイルしてみましたが、それなりに動いている
ようです。(使い道がありませんが・・)

むしろ問題となるのは動くかどうかでなく、パッケージングや
アップグレードの仕組みをどうするかということになります。
この辺りはほとんど、技術的というよりは政治的、ビジネス上
の問題となってきます。

Linux はますますビジネスの市場に浸透し、多くの場面で
使われるようになってきています。やはりビジネスとして成り
立つということは、物事を発展させる大きな原動力となります。
しかし、その中において、Debian はマイナーな存在に思えて
なりません。

ORCA ももっとメジャーなディストリビューションを対象とし、
独立採算の形で開発を促進させた方が、結果的によいものが
作れると思うのですが、いかがでしょうか。

何も知らない一介の技術者が長々と生意気を申しましたが、
このように考える者もいるということでお聞き捨て下さい。